何かに集中できる時間が好きだ。
例えば刺繍。
出来上がりを想像しながらチクチクと針を進めていくのが楽しい。と言っても、去年から始めたばかりなので大して上手ではないが、家事がひと段落したあと、好きな音楽やラジオを聴きながらチクチクするひとときは、1日の中でも無心になれる貴重な時間だ。
そうやって少しずつゆっくり作っていた刺繍入りのがま口が今日完成した。春先に作り始めた時は、梅雨頃には完成するだろうと思っていたので、色とりどりの小さな花が集まったアジサイのイメージでデザインした。それなのに、季節はもう落ち葉舞う秋。ギンガムチェックの布も夏仕様だったので、少し寒々しい。
でもこうやって完成したがま口を見るとやっぱり嬉しくなる。季節はずれの柄だが、せっかくなので冬になっても使おうと思う。
手作りのものは少々うまくいかなくても、自分にとってとても愛おしい逸品になる。そこにかけた時間も含めて、自分にしかわからない「価値」が生まれるのだ。
だからこのがま口の中にも、金色の美しい小さなミラーや好きな香りのハンドクリームなど、お気に入りの品々を入れようと思う。気持ちが落ち込んだ時に手にするお守り袋にもなるように、好きなものだけを入れるのだ。
今日の私が暮らしの中で感じた愛しいひととき。
それは春に作り始めた刺繍入りのがま口が完成した瞬間。
たどたどしい仕上がりだが、世界にひとつしかない、オリジナルの作品だ。
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