愛しの暮らし

子育て・犬育て・自分育て。暮らしのなかにある愛しいものを綴っています。

忠犬?アポロのお出迎え

うちのアポロは甘えん坊だ。

そんな風に育ててしまったのは私たちなのだが、子犬の頃から夫と私と並んで散歩に出かけ、こっちゅんが生まれたら抱っこひもで、そして歩くようになったら手をつないで家族全員で散歩に出かけるのが基本的な生活スタイルとなった。

夫の仕事も忙しいので、毎日全員で行くわけには行かないのだが、一人でも欠けるとアポロは玄関先で必ずドアのほうを振り向いて「ぱぱがいませんけど」と言いたげな表情をして私を見上げる。

「今日はお仕事なのよ。だからこっちゅんと3人で行こうね」

私がそう言うと、ちょっとつまらなそうな顔をして歩き出す。

犬ってこんなにもさみしがり屋なのかと知ったのは、アポロを飼い始めてからだ。子どもの頃から実家には犬がいたが、大人になってから迎えたのはアポロが初めてだった。

トイレのしつけに四苦八苦し、アポロがおしっこやうんちをした時間を記録しながら追いかけ回していたことがついこの間のことのように感じる。ちなみに今は間違いなくトイレでしてくれる…というより家のトイレでしかしてくれないため、遠出の時のために外でできる練習をしているほどだ。

さみしがり屋のアポロがいるので、外出しても自然と帰宅はこれまでよりも早くなった。こっちゅんと外で遊んでいても

「アポロ、お家でさみしがってないかな」

と言うのが帰宅のサインとなった。

わが家はリビングの窓から玄関が見えるのだが、帰宅して門扉を開けると、その音が合図のようにカーテンの間からアポロが顔を覗かせる。興奮させないようにそっと入っても、アポロの尻尾はいつも180度以上ブンブンだ。玄関のカギを回す頃にはもう軽快な足音が聞こえてくる。そしてドアを開けると当然のようにかわいいアポロが嬉しそうな表情を浮かべて目の前に座っている。

犬の寿命は15年程度だと聞く。永遠にアポロがいてくれるわけではないからこそ、今一緒に過ごせる時間を大切にしたい。だから本当はお留守番などさせず、どこにでも一緒に行きたい。

でもそういうわけにもいかないので、せめてお留守番の時間をアポロが楽しめるようにと今日も出かける前にせっせと私は小道具を準備した。布や段ボールでノーズワークができるように工夫し、クレートにもお気に入りのおもちゃをそっと忍ばせてから静かに玄関を出る。そして用事を急いで済ませると窓辺で帰りを待ってくれているアポロを想いながら一目散に帰宅した。

「それじゃあどっちが分離不安なのかわからないね」

夫は笑いながらそう言ったが、私はハッとした。思いたる節は…うん、いっぱいある。

ということはさみしがり屋なのはアポロではなく、私のほうなのかも。

アポロは「さみしがり屋のままをちゃんとお迎えしてあげなくちゃ!」という使命感でカーテンのあいだから顔を出しているのかもしれない。アポロはわが家の忠犬なので、玄関から嬉しそうに飛び込んでくる主を全力で迎えてくれているのだ。