部屋中に良い香りが広がる。
梅雨が近くなるとジメジメするし、大好きな星を見上げることもできなくなるけど、基本的に私は雨が好き。それは以前このブログでも書いたことだが、雨の音を聞いていると心が落ち着き、静けさを感じるからだ。
そんな梅雨の季節になると楽しみにしていることがある。それは「梅仕事」だ。
日頃は家事育児に追われている私も、梅仕事をしているときは何となく「丁寧な暮らし」を楽しんでいる気分になれる。丁寧に梅を洗い、丁寧に拭き、丁寧にへたを取り…そして作るのは家族みんなから毎年強力な指示を集めている梅シロップ。これさえあればどんなジメジメした日も、暑くて体力が奪われる日も乗り越えることができるわが家にとっての必需品。もはやこれがない夏など考えられない。
今日はその梅シロップを作るために凍らせた梅と氷砂糖を交互に瓶に詰める作業をしている。2歳半の娘はその様子がおもしろいようで、「こっちゅんもやる!」と梅に手を伸ばしては、その冷たさに驚いていちいち楽しそうだ。
「まま、冷たいね」
「まま、かたいね」
そんな感じたままの感想を言葉にするこっちゅん。
たかだかまだ2年半しかこの地球で過ごしていないこっちゅんにとって、何もかもが新鮮で、何もかもが楽しくてたまらないのだ。
そう考えるとちょっとうらやましい気持ちになった。
とは言え、私は地球のことをどれくらい知っているのか。40年生きてきたけど、行ったことのある場所を数えるほうが圧倒的に楽だし、大した経験もない。今は日常に埋没しているだけで、知らないこと、未経験のことなんてガンジス川のほとりの砂粒ほどにあるはずだ。
新しいことに挑戦するというのはいつだって少しだけ勇気がいる。
その勇気をだすかださないかは、それに対しての好奇心の大きさが決め手となる。
自分の中に生まれた好奇心の芽。それを自分で摘み取ることはとてもたやすい。しかし、その芽を育てていくと、まだ自分も知らない自分に出会えるかもしれない。
いくつになっても好奇心の芽を育てられる人でありたい。ところで今、私が気になっていることは一体なんだろう。
梅の香りに包まれて、ぼんやり思索する。そんな雨の日の昼下がりもいいものだ。
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