愛しの暮らし

子育て・犬育て・自分育て。暮らしのなかにある愛しいものを綴っています。

波佐見焼きの箸置き


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箸置きとしては一度も使ったことがない。

そもそも「使おう」と思って購入したのではなく、気づいたらこれを持ってレジに並んでいた。

 

というのもこの箸置きがあまりにもアポロに似ていたからだ。

 

伝統がありながらもおしゃれな色や形をしたものが多い波佐見焼き。そのデザインの柔軟性と品質の確かさに虜になる人も多いという。もちろん私もその1人だ。

 

この箸置きはアウトレット市場の中で見つけた。

どこからどう見てもダックスフンドではあるが、耳の形もぼんやりしていて、目もしょぼしょぼしている。破格の値段がつけられているのも納得だ。しかもわが家にはすでにいくつもの箸置きがあるので、これ以上買う必要はない。

 

にもかかわらず買ってしまった。

というのもそのままにして帰れなかったからだ。

 

わが家のアポロは知人からもらい受けた。たくさん兄弟がいたようだが、アポロだけ耳の形が悪いという理由でもらい手がかつかず、ひとりぼっちでいた。

そして私たち夫婦はなかなか子どもに恵まれず、犬を子どもとして迎えようという話になっていた。そんな時にアポロとの出会いが舞い込んできたのだ。

 

確かにアポロの耳は付け根のあたりから横にはねるような形をしており、一般のダックスのようにまっすぐ下がっていなかった。しかしそのぴょんとはねた耳がアポロの個性だと感じ、全く気にならなかった。そうしてアポロはわが家の一員となったのだ。

 

この箸置きを見たときに、その時のアポロと何となく重なった。アウトレット品ということもあり、売れ残ったら処分されかねない。それが嫌で迷わずレジに持って行ったのだ。

 

そしてこの箸置きは今、わが家の飾り棚の上でのんびり過ごしている。お気に入りのソファーの上で昼寝をするアポロとその1歳下の妹を眺めながら。

 

今日の私が暮らしの中で「愛しい」と感じたもの。

それはアウトレット品の箸置き。

いつの間にかにぎやかになったわが家のリビングを今日も静かに見守ってくれている。